かつては下町のおかみさんが、亭主の晩酌に一本つけて食べていた庶民的な地味な鍋で、
さりげなく作られていましたが、これがどうして、たらさえ吟味して選べば、
驚くほど美味しい鍋になります。
材料の取り合わせも豪華ではないですが、いわばいぶし銀のように渋い味わいで、
お酒の好きな方には最適な鍋です。
旬の真だらを使えば最高ですが、安価な塩だらでもさまになる便利な鍋です。
◆材料の吟味
生のたらを丸ごと用意しよう。
ツヤがありハリのあるもの、身は透明感があるものほど新鮮です。
たらは淡白な味なので取り合わせる材料もあっさりしたものを。
豆腐との相性は抜群。木綿豆腐が美味しい。
あとは少しの野菜があれば十分。
◆材料(3人前)
- たらの切り身 4切れ
- 白菜 6枚
- ほうれん草 1/2把
- 春菊 1/2把
- しめじ 1/2袋
- 豆腐 1丁
- 大根 200g
- 赤唐辛子 2本
- あさつき 5~6本
- レモン 1個
- だし昆布 15cm
◆下ごしらえ
- たらは一口大に切り、塩ひとつまみを入れた熱湯で軽く霜降りにし、流水で残ったウロコを洗い流す。
- 白菜は葉を一枚ずつはがし、塩ひとつまみを入れた熱湯でゆでて盆ザルにとる。
- ほうれん草は白菜をゆでたその後の湯で色よくゆで、水にさらす。
- 巻き簾に白菜と葉と軸を交互に並べ、ほうれん草を芯にして巻き、小口から3~4cmの長さに切る。
- 春菊は水洗いして軸のかたいところを切り取る。
- しめじは数本ずつの小房に分ける。
- 豆腐はやっこに切る。
◆薬味を作る
- 紅葉おろしを作る。赤唐辛子は微温湯に浸し、種を取りみじん切りにして、軽く水気を切った大根おろしと混ぜる。
- あさつきは小口切りにする。
- ポン酢醤油を作る。レモンは横半分に切って汁を絞り、しょうゆと同割りにする。
- 大皿に白菜巻きをまくらにして、たら、豆腐、しめじ、春菊を形よく盛り合わせる。
◆鍋を作る
昆布は中央に菱形の小穴を開け、土鍋に入れて水を張り、煮立ち始めに取り出す。
たらと野菜を順々に入れて、ポン酢醤油に薬味を添えて食べる。
◆ここにこだわる◆
たらは丸ごと使い切るようチャレンジしよう。
生のまま鍋に入れないで、塩を入れた熱湯で軽く霜降りにして使うと
生臭みがとれ、また旨みも引き出される。
材料がさっぱりしているだけに、だし汁も上等なだし昆布でとりたい。
薬味に紅葉おろしをたっぷりと用意したい。
【調理のポイント たらのさばき方】
- 魚体にツヤがあり、腹が張っているたらを調達したい。
- 腹に包丁を入れる。包丁を入れ過ぎて内蔵を傷つけないように注意する。
- 腹の内蔵をすべて抜き取り、塩水で洗ってから切り身にする。